パワハラから身を守るには
あなたはパワハラを受けていると感じた時、どのように対応しますか?
周りにパワハラを受けているという人がいた時、あなたならどうしますか?
自分の身を守るために、パワハラを受けている人の力になるために、パワハラについて考えてみたいと思います。
パワハラには二つのタイプがあります。
誰にでも思ったことをズバズバいうタイプと、相手によって態度を変えるタイプです。
ここでは、ズバズバいうタイプを親分型、相手によって態度を変えるタイプをエリート型と呼ぶことにします。
親分型はあまり裏表がなく、相手に関係なくストレートに物を言うので、怒っている時には周りの人も「それはパワハラなんじゃないか」と感じます。
そのため、複数の人が訴えるので、パワハラが明るみに出やすくなます。
また、本人もきつい言い方をしているという自覚があるので、今の時代はこれではいけないと反省して自ら辞職したり態度を改めようとします。
パワハラを受けた方も、周りの人から「大変な目に合ったね」と同情してもらえるので、つらい時期を乗り越えさえすれば、比較的早くダメージから立ち直ることができます。
エリート型は、物腰が柔らかく、ニコニコしていて、人当たりがいいので、最初のうちは「いい人だ」と思わされます。
ところが、相手が自分の意に沿った対応をしてくれないと、態度を変えて激しく攻撃するようになります。
自分の指示の仕方が良くないなどとは考えないので、一方的に相手を悪者だと思い込み、容赦なく相手を非難します。
基本的にやさしくて穏やかな人というイメージを周りの与えているので、側近や同僚、友人などは「あんないい人が怒るのだから相手によほど問題があるのだろう」と考えます。
攻撃する対象は自分より弱い立場の人間で、上司など自分より立場が上の人間に対しては素直で穏やかな態度で服従するので、出世していきます。
こういう人が大きな組織の上の立場にいると、被害者も増えます。
しかし、被害者がパワハラを訴えても簡単には信じてもらえず、上司やその周りの人も「あんないい人」と思っているので、被害者の方が悪いと思ってしまい、一緒になって非難されることすらあります。
だから訴えたとしても、被害者の方が問題がある人と認定されて逆に処分されるということにすらなりかねません。
組織で行うパワハラ研修は多くの人には役に立ちますが、エリート型のパワハラをする人は何を言われても「自分は正しいことをしている」と思っているのであまり効果がありません。
では、被害者はどうすれば良いのか、6つの対応策を紹介します。
1 自分を責めない
あなたは悪くありません。
何度も怒鳴られている「自分がこんな人間だから」「自分がちゃんとできないから」と自分を責めるようになりがちですが、あなたの仕事の仕方や能力や性格は関係なく、相手が勝手に怒っているだけです。
パワハラはして良い人、されて良い人はいません。
2 周りの人を味方にする
日ごろから穏やかでにこやかな対応をしたり、相手の話を傾聴したりして、周りの人と良好な関係を築いておくことで味方になってくれる人が増えます。
会話が苦手でも、笑顔を作ったり、人の話をしっかり聞くということはできるので、どれだけ日頃から良いコミュニケーションを取っておくかということが大事です。
3 証拠を残しておく
訴えるとなれば証拠が必要です。
詳細な日時や内容の記録、録音など、相手が反論できないような記録を残しておくことで自分が有利な展開にすることができます。
4 訴えるときは一人で行動しない
苦しい状況になると、これ以上被害者を出したくないという思いから、自分一人で訴えるなどの行動をしがちです。
しかし、相手は周りの人を味方につけているので、複数で攻撃してきますから、一人では太刀打ちできません。
複数人で訴える、弁護士を入れるなどの対応が必要です。
5 相手を恨まない
相手を恨んでも自分が苦しくなるだけです。
「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があります。
被害を拡大させないために訴えるのだとしても、それは事実を明らかにするということを目的とし、決して怒りや恨みの感情を持たないことです。
怒りの感情は新たな怒りを呼びます。
恨みの感情は新たな恨みを生みます。
どれだけ怒りや恨みを相手にぶつけても、相手には刺さらず、自分に跳ね返ってくるだけです。
苦しい思いをしたことは自分が成長するための経験だったと受け止め、穏やかな対応を心がける方が、自分に味方してくれる人が増えます。
6 相手の立場にたつ
人はどうしても自分の視点から物事を判断しがちです。
相手には相手の事情、相手の感情があります。
相手はなぜそのようなことを言うのか、なぜそのような行動をするのか、相手の立場に立って考えてみることで、新たな視点から対応を考えることができます。
最近はハラスメントをなくしていこうといい意識を持っている人が多いので、味方になってくれる人は必ずいます。
一人で悩みを抱えて苦しまないことが大切です。
相手を何とかしようとか、他の人のためにもなんとかしようと考える前に、自分を守り、自分を大切にすることが必要です。
自分を大切にし、自分が元気でいることで、問題解決が進みますし、自分以外の人を守ることもできます。
つらい状況の中であっても、思いやりや感謝の気持ちを持って、落ち着いたて対応すれば、今の状況から抜け出す道はきっと見つかります。